宅建業法について

皆様こんにちは、勉強は順調に進んでいるでしょうか?試験直前期ですので宅建業法についておさらいし、テストで18点前後を目指してほしいと思います。宅建試験は50点満点で近年では38点を目標にしていかないと落ちる可能性が非常に高い試験となってきました。得点率として76%以上の得点率が求められる試験てそうとう難易度高いですよね・・・。しかし、宅建試験におきましては宅建業法だけはコンスタントに高得点が期待できる科目となりますので、受験生の皆様はこの宅建業法でいかに得点するかが合格への鍵だと思います。
合格者のほとんどが、17点~20点を獲得して合格しております。この業法で15点程度しか取れない実力の方はまず合格は不可能に近いですし、全然勉強時間が足りていない証拠と認識して取り組んでほしいと思います。
業法で18点取れれば残り30問で20点とれればほぼ合格ですので、得点率66%で合格を手にすることが出来ます。全体感では76%以上の得点率が必要ですが、業法を頑張れば相対的に他の科目が楽になります。

宅地建物取引業の定義

宅地とは建物の敷地のことですが、何でも宅地というわけではありません。次の3つを覚えておいてください。

1.現在建物が建っている土地
2.将来建物を建てる目的で取引される土地
3.用途地域内の土地

現在建物が建っている土地ですが、未登記でも現に建物が建っていれば宅地とされます。現況が山林などであっても、将来建物を建てる目的で取引をすれば宅地とされます。

用途地域とは、都市計画法というもので住居系・商業系・工業系の13種類に土地の用途が定められた地域のことをいい、法令上の制限で詳しく勉強することになります。用途地域内の土地であっても、「道路・公園・広場・河川・水路」は宅地ではありません。これは今覚えておいてください。

用途地域内の土地であっても、広場や水路などは宅地ではありません。用途地域内の土地であれば、農地や駐車場なども宅地となります。

宅建業の建物とは

建物は建物、主に住居です。しかし住居以外にも、事務所や倉庫、マンションやアパートの一室も建物に含まれるという点に注意しておいてください。更に、会員制リゾートクラブの会員権なども、施設の所有権が会員の共有に属すれば建物に含まれます。

宅建業の取引とは

取引には8種類あります。

自ら当事者として   「売買」「交換」
他人間の契約を代理して「売買」「交換」「貸借」
他人間の契約を媒介して「売買」「交換」「貸借」

ここはそのまま丸暗記です…が、自然とこの先たくさん出てきますので、暗記というほどでもありません。

ここでのポイントは、「自ら貸借」は取引に該当せず、宅建業ではないという1点です。つまり、Aさんが自らマンションを建てて業と言える分譲(=売買)をするには宅建免許が必要ですが、賃貸(=貸借)をするだけなら宅建免許は不要となります。Aさんから業と言える分譲や賃貸を頼まれたBさんは宅建免許が必要となります(分譲ならAB両者とも免許必要)。尚、転貸借も貸借に含まれ免許不要となります。

また、宅建業法の大前提ですが、「国や地方公共団体」は、宅建免許不要で宅建業を営むことができます。しかし、それらから依頼を受けた者は別です。市所有の宅地を、市を代理して不特定多数に反復売却する者は宅建免許が必要となります。

媒介とは後ほど詳しく出てきますが、当事者の間に立ち、他人間の契約を取り持つ行為をいいます。代理との違いは、代理は当事者に代わって契約までするのに対し、媒介は、契約自体は当事者同士に任せるという点にあります。この違いは後述する「報酬計算」以外で気にする必要はありません。

 売買交換貸借
自ら当事者×
媒介・代理

〇=宅建業の取引にあたる ×=宅建業の取引にあたらない

宅建業の業とは

業とは、「不特定多数の人」に対して「反復継続」して取引を行うことをいいます。特定の人に宅地を売却しても、それは業ではありません。特定の多数(友人や社員限定など)に売却しても、それは不特定ではなく、業とはなりません。

分譲は業ですが、一括売却は反復継続ではないので業ではありません。これから反復継続する目的ならば、最初の取引も業となります。

ここでのひっかけポイントは、「期間限定」や「相続税納付」のためなら宅建免許は不要という誤った問題です。期間を定めて不特定多数の人に反復継続して売却しても、相続税納付のためなどそれっぽい理由があっても、宅建免許不要とはなりません。そういった例外はありませんので、「不特定多数」に「反復継続」している取引かどうかだけを冷静に見極めてください。

では、応用問題です。『A社が、福利厚生を目的として自社所有の宅地を社員に対し反復継続して販売する場合、A社は宅建免許を必要とするか?』正解は「必要なし」です。反復継続していますが、不特定多数とは言えませんね。「福利厚生を目的として」など、それっぽい理由付けがある問題は誤りであることが多いので、正誤が分からないときの解答テクニックの一つとして頭の片隅に入れておいてください。

宅建業のひっかけポイントまとめ

上に少し書きましたが、「不特定多数」に「反復継続」して取引しているかを冷静に見極めてください。そしてそれが「宅地」に関する「取引」なのかを見てください。本試験問題では、正しい文章に誤りが混ざっています。「正しいもの」ならば全て正しい文章ですが、「誤っているものはどれか」であからさまに誤りという文章はほとんどありません(何問かは一目瞭然のサービス問題も出題されます)。

基本的に「正しそうな文章の中に少し誤りが混ざっている」と考えてください。4肢択一式の試験とは、どこに誤った記述があるか見つけられるかを試す試験です。

では、ひっかけ問題に惑わされないよう少し練習しておきましょう。これで「宅地建物取引業の定義」における出題パターンを掴めるはずです。

1.用途地域内の土地を駐車場として反復継続して賃貸するため、当該賃貸借契約の媒介を宅建業者に依頼した者は、宅建業の免許を受ける必要がある。
→ 用途地域内の土地、駐車場も宅地、不特定多数に反復継続…正しい肢だ!とはなりません。「自ら貸借」は宅建業に該当しませんね。これはこの先もあちこちでさり気なく出てきますので注意してください。ちなみに本肢の宅建業者はもちろん免許が必要です。尚、本肢のように誰誰に賃貸や売却と指定がない場合は、不特定多数と考えてください。

2.所有する宅地を区画割して、その売却を一括して宅建業者に依頼した者は、当該宅建業者が反復継続して売却をする場合でも宅建業の免許を受ける必要はない。
→ 宅建業者が不特定多数に反復継続して売却するのであれば、依頼者も免許を必要とします。一括で代理を依頼しても関係ありません。

3.所有する用途地域内の山林を区画割して、公益法人のみに対して反復継続して売却する者は、宅建業の免許を受ける必要はない。
→ 区画割する山林は宅地だけど不特定多数ではないから…正しい肢だ!とはなりません。公益法人のみに限定されていても特定性は弱いと言えます。不特定多数の公益法人に売却するので、免許は必要となります。

4.所有する都市計画区域外(用途地域の指定なし)の山林を、不特定多数に反復継続して売却する者は、宅建業の免許を受ける必要がある。
→ 山林を山林として売却するのに免許は必要ありません。免許を要するのは「宅地」についてです。

5.土地区画整理事業により換地として取得した宅地を区画割して、不特定多数に反復継続して売却する者は、宅建業の免許を受ける必要はない。
→ 土地区画整理事業とは法令制限で勉強しますが、特別扱いも多いところです。しかし、宅建業の定義において特別扱いはありません。換地等の意味は置いておいて、とりあえず土地区画整理事業でも免許が必要ということだけ覚えておいてください。

以上、宅地建物取引業の定義についてお話しました。すごく簡単ですよね?宅建業法とはこの程度です。しかし塵も積もれば何とやらで、覚えることが増えてくれば大変になります。毎回このレベルですので、少しずつ確実に覚えていけば宅建業法は本当に簡単です!

近年の宅建本試験問題(言い回しなど、出題傾向をチェックしておきましょう)

次の記述のうち、宅地建物取引業の免許を要する業務が含まれるものはどれか(2018-41

1.A社は、所有する土地を10区画にほぼ均等に区分けしたうえで、それぞれの区画に戸建住宅を建築し、複数の者に貸し付けた。
2.B社は、所有するビルの一部にコンビニエンスストアや食堂など複数のテナントの出店を募集し、その募集広告を自社のホームページに掲載したほか、多数の事業者に案内を行った結果、出店事業者が決まった。
3.C社は賃貸マンションの管理業者であるが、複数の貸主から管理を委託されている物件について、入居者の募集、貸主を代理して行う賃貸借契約の締結、入居者からの苦情要望の受付、入居者が退去した後の清掃などを行っている。
4.D社は、多数の顧客から、顧客が所有している土地に住宅や商業用ビルなどの建物を建設することを請け負って、その対価を得ている。

ポイントを区切って1つ1つ確認していけば正解が見えてくるはずです。1番と2番は自ら貸借なので宅建業に該当しません。4番は単なる建設業です。3番が宅建業を含み正解となります。苦情の解決や清掃などの管理業自体は免許不要ですが、入居者の募集や賃貸借契約の締結まで代理して行っているので免許が必要となります。

重要なのは勝つために準備することである