宅建業法 免許の効力について

宅建業の免許

皆様、こんにちは。試験直前期本日も宅建業法について記載していきたいと思います。不動産事業を行うには大まかに二つの準備が必要です。それは会社が不動産業をやってもいいですよという「宅建業の免許」が必要です。皆様が目指している宅建士としての「宅建士証」とは違うので混同しないようにしっかりと区別して覚えてください。

「宅建業=会社」「宅建士証=個人」

ちなみにですが、個人の宅建士登録は一生ものですが、宅建士証の書き換えには5年毎の更新が必要です。これも混同しないように注意が必要です。

宅建免許の有効期間

宅建業の免許の有効期間は5年です。後にお話しますが、宅建試験に合格した者が行う「宅建士登録」の効力は、登録の消除がされない限り一生有効であるという点と混同しないように注意してください。

では、5年の期間満了後も引き続き宅建業を営もうとする場合はどうすれば良いのでしょうか?ここで登場するのが「免許の更新」です。ここは宅建試験でよく問われるポイントです。免許更新の申請は、免許有効期間満了の90日前から30日前までに行います。この90日前から30日前という数字は必ず覚えておいてください。

また補足として、この期間内に更新の申請をしておけば、免許権者が更新を認めるかどうか決定するまでに有効期間が過ぎてしまったとしても、その決定まで免許の効力は持続する、期限切れでも持続する、ということも頭の片隅に入れておいてください。

そして有効期間満了後に更新が認められた場合でも、新しい免許の有効期間は、従前の免許の有効期間満了日の翌日から5年となります。更新が認められた日から5年ではありません。これも出題可能性ありです。

変更の届出

免許権者は、宅建業者に免許を与えた場合、免許証を交付するとともに「宅地建物取引業者名簿」(=宅建業者名簿)というものに、一定事項を登載しなければなりません。免許権者とは、都道府県知事または国土交通大臣でしたね。基本の基本ですごく重要ですので、あれ?と思った方はしっかり復習しておいてください。宅建業者名簿に登載する事項は以下の8つです。

1.免許証番号・免許の年月日
2.商号・名称
3.宅建業者が法人である場合は、その役員および政令で定める使用人の氏名
4.宅建業者が個人である場合は、その個人および政令で定める使用人の氏名
5.事務所の名称・所在地
6.事務所ごとに置かれている成年者の専任宅建士の氏名
7.指示処分・業務停止処分の年月日・その内容
8.宅建業以外に兼業している場合は、その事業の種類

これら1~8の事項に変更があった場合、宅建業者は変更の届出を行います(免許の申請と同様、国土交通大臣免許を受けている宅建業者は、主たる事務所を管轄する都道府県知事を経由して届け出ます)。全てを覚える必要はありませんが、最低限23(4)56番は覚えておいてください。よく出題されます。

そして、これは重要です。上記事項に変更があった場合、宅建業者は変更の届出を行いますが、この届出は、変更から30日以内に行わなければなりません。この期間は覚えておいてください。

補足ですが、変更の届出が義務付けられているのは、上記2~6番だけです。178番は必ずしも届け出る必要はありません。2~6が出たら30日以内に必ず変更の届出が必要、と覚えておいてください(逆に、178番で「変更の届出を行わなければならない」などと出題されたら誤りです)。

また、変更の届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合、宅建業者は50万円以下の罰金に処せられます。3番の役員に監査役も含まれるという点も大穴として頭の片隅に!

免許換え

宅建業者名簿の登載事項に変更があった場合、宅建業者は変更の届出を行いますが、事務所を廃止・移転・新設し、現在の免許が不適当となる場合は、「免許換え」というものを行います。免許の変更と混同しやすく、後の宅建士でお話する「登録の移転」や「変更の登録」とゴチャゴチャになりますので、少しずつ確実に頭の中を整理していってください。

都道府県知事免許に免許換えする場合は、直接、免許換えを申請します。国土交通大臣免許に免許換えする場合は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して免許換えを申請します。そして新たな免許権者は、従前の免許権者に対して遅滞なくその旨を通知します。ここは事例で見ていきましょう!

・A県+B県 → B県の事務所を廃止しA県のみ(国土交通大臣免許 → A県知事免許)
 直接A県知事に申請、A県知事は国土交通大臣に通知

・A県 → B県に移転(A県知事免許 → B県知事免許)
 直接B県知事に申請、B県知事はA県知事に通知

・A県(本店)+B県にも新設(A県知事免許 → 国土交通大臣免許)
 A県知事を経由して国土交通大臣に申請、国土交通大臣はA県知事に通知

以下、本試験出題ポイントをインプリ風に。

免許換え後の免許有効期間は、免許換えのときから5年である!
免許換えと同時に変更の届出も必要な場合、変更の届出は不要である!
免許換えが必要なのに免許換えをしない場合、その免許は取り消される!
個人の宅建業者が法人となる場合、改めて免許を受ける必要がある!

廃業等の届出

免許権者から免許取消処分を受けた場合、個人の宅建業者が死亡した場合、法人の宅建業者が破産した場合・・・などなど、宅建業者は宅建業を営むことができなくなります。このような場合、「廃業等の届出」をしなければなりません。廃業等の届出が必要な場合とは?誰が届け出るのか?重要です。

尚、変更の届出と同様に届出先は免許権者で、国土交通大臣免許の場合は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して国土交通大臣に届け出ます。

1.死亡:相続人
2.合併消滅:消滅した会社の代表社員であった者
3.破産:破産管財人
4.解散:清算人
5.廃業:廃業した個人または法人の代表役員

ここはひっかけ問題の宝庫です。

例えば、破産によって・・・と出題された場合、届け出るのは破産管財人です。しかし、破産または合併以外の理由により解散・・と出題されたら清算人です。正確な知識が問われますので、騙されないようにしてください。

そしてこの届出は、廃業等の事実が発覚した日から30日以内に上記の者が申請しますが、死亡の場合だけは、相続人が死亡を知った日から30日以内ですので、このひっかけにも注意してください。

また、免許が失効する時期ですが、1番と2番は届出を待たずに、死亡、合併のときに免許の効力はなくなります。3~5番は届出時に失効です。ここも注意ですね。

最後に廃業等の届出の補足です。免許が失効すると宅建業者ではなくなりますが、それでは取引中の相手がいた場合、その相手方が困ってしまいます。そこで免許が失効した場合でも、一定の者は、その継続中の取引が終了するまでは、当該取引の範囲内では宅建業者とみなされます。これは覚えておいてください。ちなみに一定の者とは、宅建業者でなくなった本人や相続人、新設会社や存続会社です。

苦しいから逃げるのではない、逃げるから苦しくなるのだ