宅建士試験 法令上の制限

宅建試験 法令上の制限 解説

皆様、こんにちは。勉強は順調に進んでいるでしょうか?宅建試験の勉強を進めているとこの「法令上の制限」でちょっと躓く人が出てきます。権利関係も難しいですが、民法が基本なので売買契約や賃貸借契約などは、皆様日常の生活でまあ馴染みがあるかと思います。なので、自分自身のケースに置き換えたり、優先して守られるべき人は誰か?を意識しながら解答するとすんなり理解出来たりします。

しかしながら、この法令上の制限は不動産業にお勤めでもない限り、全く日常生活に出てこないかと思います。この制限は、そもそも無秩序に建物を建築されては困りますよね?日当たりが悪くなったり、小学校の近くに風俗店が出来たり、自宅の隣にいきなり大規模工場が建設されたりすると安心して過ごすことが出来なくなります。そこで、この「法令上の制限」が必要となってきます。

法令上の制限とは

「法令上の制限」という分野は、土地の利用等に対して一定の制限を加える法令で構成されています。

みなさんが住んでいる街や、あるいは「こんなところに住みたいな~」と思っている場所(土地)に、好きなようにどんな建物を建てても良いわけではありません。

その土地がどのような区域なのか、どのような建物なら建てられるのか、など知っておかなければならないことがたくさんあります。

当然、一般の方でそういった知識を持って物件選びをする方はほとんどいません。

そのため、一般の方が物件(土地or建物)を購入する前に、重要事項説明で宅建士がしっかりと説明しなければならない重要な内容になっています。

例えば、大きな工場がたくさんあるところに、住宅街ってなかなかないですよね。

低層住宅が並んでいるところに、高層マンションが建っていることも少ないですよね。

その街がどのような街であり、どのような都市環境にしなければならないのかが決められているのが、都市計画法などの法令です。

さまざまな制限を法令で設けることによって、住みよい街づくりを図っているのです。

過去の出題傾向

「法令上の制限」からは50問中8問出題されます。

以下が出題される法令等の項目です。

・都市計画法
・建築基準法
・宅地造成等規制法
・土地区画整理法
・農地法
・国土利用計画法/その他の法令

出せる問題が限られている項目については、勉強範囲が狭く、過去問から繰り返し出題される傾向にあります。

そして以下の表は、さらに細かい項目に分けた、過去の出題傾向と重要度を表しています。

最後の「その他の法令上の制限」は、近年では出題されない年も多いです。

ですが、出題されたら必ず得点しなければならない問題です。攻略法については後で解説していきます。

攻略・学習法

この分野は暗記が重要になってきますが、個々の制度をしっかり理解することをまず先にしておきましょう。

都市計画法の中の【区域区分】や【用途地域】はこの分野の基礎であり、他の法令とも深く関係してきます。

なので、都市計画法の全体像を把握するよう心掛けてください。

そして、項目ごとのポイントを解説していきます。

都市計画法(出題数:2問)

都市計画法は、この分野における基本的な法律です。

試験では、大きく分けると「都市計画の種類と内容」と「開発許可制度」から出題されます。

ここでは覚えることが多いですが、文字だけで覚えるのは難しいと思うので、内容をイメージしてストーリー化することをオススメします。

そしてやはり、過去問を解けば解くほど理解しやすくなりますので、まず全体を把握したら一問一答や過去問で慣らしていきましょう。

建築基準法(出題数:2問)

建築基準法は、国民の生命・健康・財産を保護するための法律であり、そのために建築物の構造・用途などについて守るべき最低基準を定めています。

とにかく数字の暗記が多いです。

「〇㎡以内の飲食店なら〇〇地域での建築が可能」

「木造〇階建て以上〇㎡超、高さ〇m超の建築物を新築する場合には建築確認が必要」

など、覚える量も膨大な上、数字に加え「以上」「以内」「超」「未満」などの数値用語もたくさん出てきます。

こればっかりは、できるところまで丸暗記を目指すしか他ありません。

毎日少しずつ覚えて暗記量を増やしていけば、覚えられないことはありません。

こちらも、一問一答を活用してインプットとアウトプットをたくさん繰り返しましょう。

宅地造成等規制法(出題数:1問)

宅地造成等規制法は、宅地造成に伴ってがけ崩れ等の災害が生じやすいであろう市街地を「規制区域」とし、災害防止の規制を行います。

テキストのページ数も少なく得点のしやすい項目ではありますが、そもそもの“宅地とは何か”“宅地造成とは何か”といったことをしっかり理解できているかが重要なポイントとなります。

この1点は逃さないように、暗記事項は完璧にしておきましょう。

土地区画整理法(出題数:1問)

昔からある、古い住宅地の並んだ整備されていない街ってありますよね。

道が入り乱れていたり細く狭かったり、使いようのない不整形な土地だったり。

そういった場所を住みやすく綺麗に作り変える事業が、土地区画整理事業です。

ご自身の住んでいる街の、昔の地図と今の地図を見比べてみてください。

なんとなく全体的にごちゃごちゃしていた街並みが、道路はまっすぐ直角に交わり、建物の並びも揃っていて公園なども確保されているような、綺麗な街並みに変わっていませんか?

そういった街の方が“そこで暮らしてみたい”と思え、人が増えてきますよね。

私はそのように街が変わっていく工程が身近に感じてなぜか好きで、この項目は自然と頭に入ってきました。

この項目も1問出題のみなので、ぜひとも得点していただきたいです。

これは【土地区画整理法】という基本的な制度を理解しておけば、問題を解くのはそれほど難しくないと思います。

農地法(出題数:1問)

農地法の目的は、国内の農業生産を増やし、食料の安定供給を確保することです。

そのためには、農地と耕作者を減らす・無くすことはできませんよね?

農地として利用していた土地を他の住宅などの用途に変更することや、農業を行わない人への売買が自由に行われると、農地や耕作者が減ってしまう可能性があります。

そういったことを防ぐための制度が、農地法3条・4条・5条です。

この3条・4条・5条の各制度を、上記内容を理解した上で区別して覚えることが重要。

それさえできれば、必ず得点のできる1問となります。

国土利用計画法/その他の法令(出題数:1問)

国土利用計画法からは少なくとも1問出題されますが、まれに「その他の法令上の制限」とあわせた出題がされる場合もあります。

国土利用計画法は、適正で合理的な土地利用を図り、土地取引の規制に関する措置を講じています。

出題されるのは「土地取引の事後届出制」が中心となります。

どの区域の土地の取引なのか、土地の種類は何なのか、取引内容はどういったものなのか、それによって届出の必要性が変わってきます。

また、誰が、いつまでに、どんな内容を、どこに届け出なければならないのか、そういったところの理解が必要となります。

これはテキストを読んで過去問を繰り返せば、すぐに理解して頭に入る内容だと思います。

さらに「その他の法令上の制限」についてですが、これはさまざまな法令に規定されている「行為の制限」の内容について出題されます。

ここでは、“原則と例外”があり、“例外”の方を暗記しておけば得点の可能性は高いです。

テキストだけでも十分理解できますので、覚えるまで読み込みましょう。

まとめ

〈法令上の制限 攻略POINT〉
◎暗記がとても重要
◎過去問や一問一答を何度も繰り返し解く
◎各法令の制度について、住んでいる街など想像しながら理解する
◎1問出題の項目は必ず得点する

法令上の制限は暗記がとても重要な分野であり、それを定着させるには過去問をひたすら解くことです。

「何のためにどのような制限が加えられているのか」という法制度の趣旨をイメージし、
「原則と例外」をしっかり押さえて理解していきましょう。

ただし、この分野に関しても法について取り扱われているので、権利関係と同様、深入りしすぎないようにご注意ください。

他人と比べて劣っていても悲観することはない、しかし去年の自分と比べて劣っていたら恥ずべきである